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 手付金の目的とは
 
取引ガイド
 
 Step 6-C.「売買契約を交わす」
(1) 手付金の交付は、その目的を売買契約書等によって明確に記載表示していなくても、一般的に次の3通りの目的による解釈がされています。
 1.証約手付 ・手付金を授受することで契約の成立を証明する。
 2.解約手付 ・解除権を保留する手段として手付金を交付する。
 3.違約手付 ・相手方の契約履行を保留する手段として手付金を交付する。
        民法上では当事者に特別の意志表示(売買契約書に記載等)がない限り、(2.)の解約手付とし
        て交付されたものと見なしています。
 
(2) 契約の解除に伴う手付解除
 1.万一、契約をやむを得ない事情で解除する場合には、売買契約書に明記された手付解除の条項により、買主が
  申し出た場合は買主の手付金放棄、売主が申し出た場合は売主手付金倍返しによって成立します。
 2.なお、契約が解除されたことを明確にするため当事者間で所定の契約解除に関する覚書を結んだ方がよいと
  言えます。
 
(3) 手付金の取扱い
 1.手付金は売買代金の一部ではなく、売買代金の支払時に全部変換されるべき性格のものですが、実務上では
  手間を省くために、売買代金の全額支払時に手付金を売買代金の一部として充当する方法を取ります。
 2.また、手付金とは別に内金(中間金)として売買契約締結時もしくはそれ以後に金銭の授受を行う場合もあり
  ますが、内金は手付金と違って売買代金の一部前払い金としての意味がありますので、内金の支払目的や金額
  は売主と買主が話し合い、納得の上で取り決める必要があります。
 3.また、金銭を支払う場合には手付金、内金の区別、確認をする必要があります。
 
(4) 手付金の制限せいげん
 1.宅建たっけん業者ぎょうしゃ売主うりぬしとなる場合ばあいには、つぎ制限せいげん規定きていがあります。
 @代金の2割を超える額の手付金を受領できない。
 A宅建業者が受領する手付金は解約手付であり、手付金以外に違約金などを徴収する旨の特約をしても無効。
 B手付金に付いて、分割支払や貸与などの信用の供与は禁止されている。
 
(5) 手付金、中間ちゅうかんきん保全ほぜん
 1.宅建たっけん業者ぎょうしゃ売主うりぬしとなる場合ばあいには、つぎ制限せいげん規定きていがあります。
 @代金の1割を超える額(未完成の場合は5%)の手付金(中間金含む)を受領する場合は、その全額に
  ついて保全処置を講じなければならない。
 A1,000万円を超える額の手付金(中間金含む)を受領する場合は、その全額について保全処置を講じなければ
  ならない。
 2.指定保証機関の保証を付けると共に、その機関が発行する保証書を買主に交付することになっています。
 
(6) 仲介ちゅうかい業者ぎょうしゃ保全ほぜん制度せいど
 1.宅建たっけん業者ぎょうしゃ仲介ちゅうかいする場合ばあいは(ざい全国ぜんこく宅地たくち建物たてもの取引業とりひきぎょう保証ほしょう協会きょうかいにより手付てつけきん中間ちゅうかんきんなどのトラブルに直接ちょくせつ
  保証ほしょうけられます。
 2.宅建業者が(財)全国宅地建物取引業保証協会の会員である場合に限ります。
 3.流通センターに登録されている物件を一般消費者が購入し手付金を支払った場合。
 4.会員からの申請に基づ協会から「手付金保証証明書」が発行されます。
 5.保証金額は買主が支払った手付金ですが、1,000万円または売買代金の2割、いずれか低い方ひくいほうが保証の限度額
  です。
 
(7) 売主うりぬし債務さいむ超過ちょうかによる場合ばあい保全ほぜん
 1.不動ふどうさん市場しじょう同行どうこうによっては、物件ぶっけん担保たんぽによる債権さいけんが、その物件ぶっけん売買ばいばい取引とりひき金額きんがくえてしまう場合ばあいがありま
  す。その場合ばあい仲介ちゅうかい業者ぎょうしゃ手付てつけきん中間ちゅうかんきんについてその代金だいきんあずかって保全ほぜんするケースがあります。
 2.保全する金額が売買代金の2割かつ1,000万円を超えない場合、「仲介業者の保証制度」により保証されます。
 3.少なくとも債務超過が解消されるまで仲介業者が保全する責任があります。
 
 まとめ
 売買ばいばい契約書けいやくしょ重要じゅうよう事項じこう説明書せつめいしょなかで上記のチェックをして十分じゅうぶん理解りかいすることが不可欠となります。